【終了】二期会サロンコンサート Vol.209

2021年3月4日(木) 16:30開演/19:00開演(2回公演)

カワイ表参道コンサートサロン パウゼ

榎本真美(S)、大西恵代(S)、青戸知(Br)、木下志寿子(Pf)

二期会コンサートラインアップのページ
http://www.nikikai.net/concert/salon2020.html#209

バラエティ豊かなプログラム

遅くなりましたが、二期会サロンコンサート Vol.209、先週無事終了いたしました。

緊急事態宣言下にも関わらずお運びいただいた皆様には、感謝の気持ちでいっぱいです。

今回も客席数を半数以下とし、休憩なし約60分のプログラムで一日二回公演を行いました。

1月末に出演した二期会サロンコンサート Vol.208は全曲オペラで、ヴェルディありワーグナーありの重厚なプログラムでしたが、今回のVol.209は対照的に歌曲も多く、日本語、フランス語、ドイツ語、英語、イタリア語、そしてチェコ語まで、バラエティ豊かな取り揃えとなりました。

滝廉太郎に始まり、シュトラウス、マーラー、コープランド、ドヴォルザークなどの歌曲、そしてオペラからはメサジェ作曲『お菊さん』のアリアや、『ルサルカ』より月に寄せる歌、『フィガロの結婚』より二幕フィナーレ、アンコールにはバーンスタインの『キャンディード』より。

そしてソプラノ大西恵代さんのたっての希望で、なんと山下達郎の「希望という名の光」も重唱で演奏したのです。
恵代さん編曲の手書きの楽譜が届いたときは、驚きとともに大きな愛を感じました。

運命に負けず、何度でも起き上がり、希望という名の光を忘れないで、といった内容の歌詞は、コロナ禍の厳しい状況の中で勇気を与えてくれます。

バリトンの青戸知さんが歌われた、イスラエル民謡/夏田昌和編曲「あめんどうの花」の中にも、〈痛みの中でも希望のしるし、花の命は甦る〉という歌詞があり、音楽も希望の光を感じられるものでした。

今回もリハーサルから共演者の皆さんと楽しい時間を過ごさせていただきました。

レッジェーロの軽やかさと熱い魂を両方持ち合わせたエンターテイナーの恵代さん、シュトラウスやルサルカなどをしっとりと美しく歌われた、品格のある榎本さん、どの言語でも丁寧に情感豊かに歌われる、優しさ溢れる青戸さん、ご一緒できて嬉しかったです。

リハーサルの様子

自然へのオマージュ

今回のコンサートの副題は「巡る春に寄せて~Hommage to Nature~」

自然へのオマージュと題して、自然への賛美をテーマに選曲されました。

朝の澄んだ空につばめが飛んだり、森から夜が歩み出たり、ダリアの花が遅く咲いたり、痛みの中でもあめんどうの花が咲いたり、そんな自然の営みに様々な感情が結び付き、そこにはオペラの人間ドラマとはまた違った深い感慨が生まれます。

どの曲も味わい深かったですが、その中でも特に印象に残った曲は、コープランド作曲「エミリー・ディキンソンの12の詩」より第1曲:自然、いともやさしき母よ。

クリスタルのように、という指示のある前奏は、鳥のさえずりのようでもあり、木漏れ日や水面の輝きのようでもあり、様々な自然のきらめきを感じさせる透明感のあるものです。

爽やかで幻想的で美しく、全てを優しく穏やかに包み込む、母なる自然への賛美。

コープランドの作品はこの他に、「アメリカの古い歌 第2集」より第4曲:川のほとりで、第5曲:チンガ・リング・チョウも演奏しましたが、こちらは民謡をもとに作曲されており、それぞれに全く違った作風でした。

コープランドを弾くのは初めてでしたが、音のパレットの豊かさに魅了されました。

サロンの響き

ゲネプロの様子

カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ」は、木の温もりと、大きな窓からの外光を感じられる素敵なサロンです。

ステージと客席の段差は少しだけで、ほぼフラットに近く、一体感があります。
今はコロナ対策のため舞台と客席との距離を取っていますが、それでもお客様の反応を近くに感じることができ、親しみの持てる空間です。

音響的には、響くけど響きすぎず、程よくまろやかに助けてくれるイメージです。

また、このサロンには、SHIGERU KAWAIの素晴らしいフルコンサートピアノが設置されています。
良い状態に調整されていて弾きやすく、やりたいことをいろいろと叶えてくれます。
このピアノで演奏できるのがいつも楽しみです。

この距離感、空間とピアノの響きが私にはとても心地よく、またここで演奏する機会があることを願います。

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