最近の活動報告
最近のコレペティ仕事やコンサート出演について、まとめてご報告します。
まず、昨年末からNHKニューイヤーオペラコンサートに関わっていました。
マエストロと歌手の皆さんとのピアノ合わせに参加。アリアと重唱全曲を弾きました。
1月3日の本番は会場で鑑賞。
今年はNHKホールが改装中ということで、池袋の東京芸術劇場コンサートホールで開催されました。
稽古と本番を通して、マエストロ・阪哲朗さんのオペラ指揮者としての見事な手腕、日本を代表する歌手の皆さんの旬の魅力溢れる歌唱、そしてNHKのスペシャリストの方々の周到で丁寧なお仕事を目の当たりにしました。
全国生放送番組の滞りない進行と高いクオリティーは、入念な準備の賜物。
年明けから良い刺激を受け、背筋の伸びる思いでした。
1月10日はCARI AMICI Romantisches Konzertに出演。
ドイツ・リートに精通されているソプラノ歌手・北村さおりさんのお弟子さんや仲間達が集まり、リートを研究し発表するこちらのコンサート。
私は去年から参加しています。
今回は同じ福岡県八女市出身で幼馴染の太期智子さん、そして「わ」の会でいつもワーグナーをご一緒している大塚博章さんと共演しました。
智子さんとはシューベルトの「ます」「リュートに寄せて」「ミューズの子」「夜と夢」を演奏。
王道すぎて試練でしたが、一緒に研究するのも楽しく、多くの学びがありました。
大塚さんとは同じくシューベルトの「タルタルスの群れ」「ドナウ川の上で」「プロメテウス」を共演。
こちらはドラマチックでオペラ的な要素もあり、大塚さんのダイナミックな歌唱により、普段のワーグナーに近い感覚でした。
さおりさんはじめ、皆さんの美しく表現豊かな演奏も聴いて、リートの奥深さと魅力を改めて感じました。
普段オペラに関わることの方が圧倒的に多いのですが、オペラで得たものも生かしつつ、リートならではのパーソナルで自由なアゴーギクを追求していきたいです。
1月中旬からは、新国立劇場『さまよえるオランダ人』の稽古に参加しました。
このプロダクションに関わるのは、2012年、2015年に続き、3回目です。
前回はマイヤーやメルベートなどのバイロイト歌手達と飯守泰次郎先生の熟練コラボでしたが、今回はオール日本人キャストとマエストロ・デスピノーサによるフレッシュな公演となりました。
外国人の入国制限等によりキャスト変更がありましたが、急遽出演することになった日本人歌手の皆さんも、再演の短い稽古期間の中、高い集中力で役目を果たしました。
リハーサル室での立ち稽古6日間、ピアノ舞台稽古3日間、オーケストラ付き舞台稽古2日間で、あっという間にもう公演初日。
初役の場合は特に大変です。
もともと配役されていた安定のベテラン勢、カヴァーとしてスタンバイしていた実力のある歌手達も含め、邦人ワーグナー歌手の層が厚くなっていることを実感できる公演だったと思います。
指揮者のデスピノーサさんは、私がドレスデンのゼンパー歌劇場で勉強していたのと同じ時期に、同劇場でコンサートマスターを務めていて、その後指揮者に転向。
彼の気さくで朗らかな人柄のお陰で、緊張感のある状況にも関わらず、稽古場は和やかな雰囲気に包まれていました。
厳しい状況の中、皆の持てる力を集結して千秋楽まで完走することができ、感無量でした。
1月末にはソプラノ歌手・足利真貴さんのコンサート伴奏で名古屋へ。
真貴さんの師匠である吉田恭子さんとのご縁で、以前から愛知でコレペティレッスンをしていましたが、今回その繋がりで共演が叶いました。
3部構成のコンサートの、1部と2部をご一緒しました。
第1部では、倉知竜也先生作曲の日本歌曲『花鳥風月』を初演。
その名の通り、「花」「鳥」「風」「月」と題された4曲で構成される、自然の描写が美しい組曲です。
プロジェクションマッピングによる幻想的な映像、そして電気文化会館ザ・コンサートホールの素晴らしい響きの中で、『花鳥風月』の世界観を感じながら弾くことができました。
第2部はプッチーニとヴェルディのオペラ・アリアを共演。
第3部は弦楽四重奏の伴奏となり、企画力、パフォーマンス力抜群の真貴さんの個性全開のコンサートでした。
吉田恭子さん、マネージャーさん、ヘアメイクさん、スタイリストさんなどの強力なサポートもあり、素敵なチームでした。
これから2月後半はびわ湖ホール『パルジファル』、岩手県久慈市の『ラ・ボエーム』、3月は東京春祭・子どものためのワーグナー『ローエングリン』、新国立劇場『ばらの騎士』の稽古に参加予定で、オペラの仕事が続きます。
『ばらの騎士』は一昨日キャスト変更が発表され、またまた外国人歌手に代わって日本人歌手の出演が決まりました。
https://www.nntt.jac.go.jp/opera/news/detail/6_022249.html
今後も邦人実力派歌手の皆さんの活躍にご注目ください!