2023年の活動報告
約一年ぶりの更新となってしまいましたが、オペラとコンサートに没頭する怒涛の日々を過ごしておりました。
そんな今年の音楽活動を駆け足で振り返りたいと思います。
まず、1月~2月は新国立劇場「タンホイザー」、3月は同劇場「ホフマン物語」に参加しました。
タンボイザー役を素晴らしく歌われたヘルデンテノールのステファン・グールドさん、この時はお元気で稽古場でも朗らかに過ごされていました。
まさかその約半年後の9月に逝去されるとは思いもよらず、残念でなりません。
グールドさんとは多くのワーグナー作品をご一緒しましたが、完璧主義でいつも全力投球、その誠実で真摯なお姿に感銘を受けました。
心よりご冥福をお祈りいたします。
4月14日(金)は、東京・春・音楽祭のコンサート「150年前の世界Ⅱ~ワーグナーと《指環》」に出演。
塩崎めぐみさん、伊藤達人さんと「ニーベルングの指環」四作品の中から演奏しました。
使用したピアノは、ピアニストの江口玲さんが持ち込まれたアンティークのニューヨーク・スタインウェイ。
独特のタッチと音色で、貴重な体験となりました。
5月は東京交響楽団「エレクトラ」、新国立劇場「サロメ」に関わり、R.シュトラウス漬けの毎日でした。
「エレクトラ」を全曲弾くのは今回初めてだったのですが、1回しかないピアノ伴奏での舞台稽古兼マエストロ音楽稽古で、いきなり全曲ノンストップで通すという事態に。
まさかの試練でしたが、ジョナサン・ノットさんの素晴らしい指揮と歌手の皆さんの極上の歌唱に導かれ、なんとか弾き通すことができました。
この贅沢な環境でエレクトラを経験できたことに感謝しかありません。
公演終了後、アシスタント・コンダクターの石坂宏さん、日本人歌手の皆さんと↓
6月~7月は二期会「椿姫」に参加、そして新国立劇場オペラ研修所「Scenes Recital 2023」に出演しました。
Scenes Recitalでは、様々なオペラのシーンを2台ピアノで伴奏。
前半はオケスコアを見ながら音を足す役割を担当、後半はヴォーカルスコアを見ながらメインで弾きました。
パートナーの髙田絢子さんと音の足し方、分け方、バランスなど相談し、オケのサウンドを作り上げていくのは楽しい作業でした。
8月13日(日)はお茶大同級生の橋本佳代子さんと、愛媛県八幡浜市美術館のホールにて、オール中田喜直プログラムのコンサート。
同月31日(木)には同じく橋本さん出演のKOS主催オペラ「秘密の結婚」で共演。
大泉学園ゆめりあホールにて、ほぼ全曲を上演しました。
その合間の21日(月)には、大槻孝志さん、臼木あいさんの門下生による合同発表会の伴奏をしました。
フレッシュな大槻門下の皆さんと↓
9月~10月は、新国立劇場「修道女アンジェリカ」「子どもと魔法」に関わりました。
オペラトークに出演した皆さんと↓
そして10月下旬から11月頭にかけては、静岡国際オペラコンクールに公式伴奏者として参加。
浜松で3年に一度行われる当コンクール、前回はコロナで中止になったため、6年ぶりの開催でした。
今回は10人の伴奏を担当し、韓国人3人、中国人2人、モンゴル人2人、ウクライナ人、クロアチア人、日本人1人ずつという、まさに国際色豊かな若い歌手の皆さんと共演。
1次は1人につきアリア5曲ずつ、2次はオペラ1本ずつという過酷な課題で激務でしたが、世界各国から集まる個性と将来性を肌で感じられる素敵な時間でした。
11月はびわ湖ホール「こうもり」と新国立劇場「こうもり」に関わり、こうもりづくしな一ヶ月でした。
その合間の11月15日(水)には、今野沙知恵さんのソプラノリサイタルに出演。
前半はシューマンやR.シュトラウスの歌曲、後半は「ヘンゼルとグレーテル」等のオペラより、ゲストの山下裕賀さんも交えて演奏しました。
12月8日(金)は「わ」の会コンサート vol.9を開催。
前半は上演機会の少ない初期作品「リエンツィ」「恋愛禁制」より、後半は「トリスタンとイゾルデ」第1幕全曲を演奏しました。
今回は第6回以来の2台ピアノで、城谷マエストロの編曲と導き、三澤志保さんとの共同作業により、厚みのある豪華なサウンドを実現できたと思います。
また、初めて東京シティ・フィル・コーアさんの合唱も入りパワーアップ。
そしてここ数年続けている、次世代ワーグナー歌手発掘・育成にも力を入れての公演でした。
コンサートの最後に、今年逝去された飯守泰次郎先生への追悼として「タンホイザー」3幕最後の合唱を捧げました。
ワーグナー演奏の真髄、深い解釈と精神を教えてくださった飯守先生あっての「わ」の会、感謝してもしきれません。
心よりご冥福をお祈り申し上げます。
12月21日(木)は白寿ホールにて、第28回 二期会 ディーヴァ,ディーヴォに出演。
タイプの違う3人のソプラノ、東幸慧さん、岩谷香菜子さん、中江万柚子さんと、アリアや重唱をご一緒しました。
12月26日(火)は小森輝彦門下勉強会に参加。
門下の方々の伴奏に加え、小森さんともブラームスの歌曲をご一緒し、良い刺激を受けて今年最後の本番を終えました。
以上、駆け足ながら長くなってしまいましたが、一年のご報告でした。
書ききれなかったことも沢山ありますが、お世話になった全ての方々に感謝いたします。
皆様どうぞ良いお年をお迎えください!