【終了】「わ」の会コンサート vol.8 Fragen:問い
あけましておめでとうございます。
本年も皆様と楽しい音楽体験を共有できますように!
年を越してしまいましたが、昨年12月の活動報告、まずは「わ」の会コンサートについてお伝えします。
2022年12月15日(木) 19時開演 角筈区民ホール
《ニュルンベルクのマイスタージンガー》2幕3場・4場より
ザックス:友清崇 エーファ:宮城佐和子
《ワルキューレ》1幕3場
ジークムント:片寄純也 ジークリンデ:鈴木麻里子
《ジークフリート》1幕2場
さすらい人:大塚博章 ミーメ:伊藤達人
《ローエングリン》2幕2場 / 3幕3場より
オルトルート:池田香織 エルザ:渡邊仁美
ローエングリン:伊藤達人
指揮:城谷正博
ピアノ:三澤志保 / 木下志寿子
字幕・解説:吉田真
毎年12月恒例となりつつある「わ」の会コンサート。
今回もオリジナルメンバーと新メンバーのコラボレーションにより、ワーグナーの美味しい場面の数々を濃密にお届けしました。
第8回目となりましたが、これまで同じ場面を再演したことは一度もなく、常に新たな演目に取り組んで来ました。
新たなメンバーに出演いただくことで、これまでできなかった場面も上演することが可能になるのです。
今回は新しいソプラノさんが3人も登場。
エーファ宮城さん、ジークリンデ鈴木さん、エルザ渡邊さん、それぞれ豊かな美声を生かして魅力的に演じてくれました。
第7回に引き続き参加のテノール伊藤さんは、ミーメ及びローエングリンという二つの違ったキャラクターを見事に歌い分けました。
ピアノは今回も二人で分担。
第6回で連弾した三澤さんに前半の《マイスタージンガー》と《ワルキューレ》をお願いし、私は後半の《ジークフリート》と《ローエングリン》を担当しました。
三澤さんは二期会のワーグナー公演にも欠かせない存在で、頼りになる同僚です。
今回使用した2冊の楽譜。
《ジークフリート》は1本さらう際に膨大な時間を要したため、より劣化が激しいようです。
特に1幕はワーグナー楽劇の中でも最もテクニック的に難しいと思います。音数が多く複雑な音楽。
《ローエングリン》は比較的音数が少ないので、譜読みはそれほど大変ではありませんが、シンプルが故の難しさがあります。
ピアノでオケの厚みや持続性を出すのが難しく、繊細な音楽なのでバランスや強弱など気を遣いました。
Fragen:問い、というテーマのもとに今回演奏した場面は、対照的なキャラクター同士が問答、会話しながら進んで行きます。
《ジークフリート》1幕2場では、小心者でずる賢い小人のミーメと、神々の長ヴォータンであるさすらい人、《ローエングリン》2幕2場では白いエルザと黒いオルトルート、それぞれの対比をワーグナーは巧みに音にしています。
ミーメが不安や恐怖に駆られたり調子に乗ったりする様子、さすらい人の悠然とした高圧的な語り、ローエングリンとの愛の幸福に浸るエルザに対し、言葉巧みに同情を引いたり不安を煽ったり、復讐に燃えたりするオルトルート。
こういった要素を細部に渡って城谷マエストロ、歌手と共に一体となって表現すべく、音色を追求していきました。
個人稽古を経て、各チームごとのアンサンブル稽古は2~3回ずつでしたが、密度の濃い充実した時間でした。
本番はワーグナーファンの集いさながらに、大変な盛り上がりとなりました。
感染対策のため、前から3列目までは使用しませんでしたが、それ以外は満席の大盛況。
どの演目も拍手が鳴りやまず、各演目ごとに3回ほどカーテンコールを行いました。
お客様のワーグナー愛溢れる暖かい拍手に、私たちも沢山のエネルギーをいただきました。
こちらは全員でのカーテンコールの動画です↓
そして今回も飯守泰次郎先生からお花が届きました。
「若い世代にもワーグナーを歌う機会を作ってくださっていることを、とても嬉しく、また頼もしく思っております」
というありがたいメッセージもいただきました。
前回までに登場いただいた皆さんも、日本のドイツ・オペラ界において大活躍中で、嬉しい限りです。
飯守先生のお言葉を胸に、「わ」の会は今後も未来に繋がる活動を続けて行きたいと思います。
今月は新国立劇場《タンホイザー》の稽古に参加しています。
ワーグナーと共に一年をスタートできて幸せです。