オンラインでコレペティレッスン

オンラインレッスンを始めて1年以上が経ちました。

コロナの流行で対面レッスンが難しくなり、リモートでのレッスンの可能性を模索し始めたのが昨年の4月。

試行錯誤を経て、オンラインでのコレペティレッスンの方法を見つけることができ、今では愛知、愛媛、鹿児島など、遠隔地の方々のレッスンも増えてきました。

オンラインならではの出会い、繋がりに、新時代への希望と発展性を感じています。

今日はこれまでの経緯や、オンラインコレペティを可能にするツールについてお伝えします。

遅延の問題

コレペティトールのレッスンは、伴奏を弾きながら歌手にアドバイスを行うことが基本です。
伴奏で音楽を示すことにより、作品理解を助けます。

オンラインでは音の遅延があるため、声楽とピアノで合わせることが困難で、これが一番の問題でした。

Zoom、Skype、Facetime、LINE、Messengerなど、様々なアプリを使って合わせてみましたが、どれも1拍~3拍ほどのズレが生じてしまいます。
テンポが速い曲ほどズレが大きくなります。

相手の歌をほとんど聞かずに、常に1拍以上先に弾いていかなければならず、それでいて細かいアドバイスをするのは不可能に近いのです。

伴奏をかなり簡素化して和音のみにしたり、アカペラで歌ってもらったりすれば歌を聞けますし、歌詞を読んでもらって発音を直したりすることもできますが、内容が限定的になり、本来のコレペティレッスンの在り方とは異なります。

なんとかタイムラグを少なくできないかと考える日々でした。

YAMAHAのSYNCROOM

そんな中登場した救世主が、YAMAHAのオンライン遠隔合奏サービスでした。

2020年春の時点では「NETDUETTO」という名前で公開されていましたが、その後6月末に進化版「SYNCROOM」がリリースされ、移行。

SYNCROOM(シンクルーム)の公式サイトはこちらです。
https://syncroom.yamaha.com/

このサービスには、オンラインで少ない遅延で合奏できる技術が盛り込まれているとのことで、アプリをダウンロードして使用し始めました。

ダウンロードは公式サイトから無料でできます。

SYNCROOMのメイン画面(ルーム入室時)

SYNCROOMを立ち上げ、ルーム名とパスワードを入力し、ルームを作って入室。ルームは公開と非公開を選べます。

合奏をする相手にルーム名とパスワードを伝えると、相手もそれを入力して同じルームに入ることができ、上の写真のような状態になります。

これで合奏開始です。ビデオ通話のような映像はなく、音声のみのサービスです。

何人かの歌手と合わせてみたところ、とにかく遅延が少なくて驚きました。

それぞれのインターネット環境、回線速度、使用機材などによって、遅延や音質、安定性などに差はありますが、レッスンは成立します。

有線での使用が推奨されているため、無線だとある程度の遅延が生じることもありますが、それでも他のツールに比べると圧倒的に合わせやすいのです。
光回線の有線同士だと、全く遅延を感じないこともありました。

お互いの音量は、インプット、マスターアウトなどで調節できます。
画面左下、マスターアウトの右にある「REC」を押すと、録音も可能です。

本当に素晴らしい性能で大助かり、しかも無料、ヤマハ様にはもう足を向けて寝られません。

ただ、映像がなく音声のみなので、顔を見ながらレッスンをしたい場合は、SkypeやLINEなどのビデオ通話の音声をオフにして併用しています。

また、SYNCROOMの利用にはWindowsかMacのOSが必要で、携帯やタブレットでは使用できません。

モバイル版として、Android版「SYNCROOM β」もリリースされていますが、研究開発テーマとしてノーサポートで検証が進められている段階のようです。

β版は私はまだ利用していませんが、これから試していきたいと思います。

SYNCROOMの設定

SYNCROOMはパソコンのみでも十分機能しますが、より快適なセッションを行うためには、ASIO対応のオーディオインターフェースの使用が推奨されています(Windowsの場合)。

私はWindowsのパソコンにオーディオインターフェース経由でマイクを繋いで使用しています。

お勧めのオーディオインターフェースはこちら。
BEHRINGER ( ベリンガー ) / UMC204HD USBオーディオインターフェイス
https://www.soundhouse.co.jp/products/detail/item/208429/

オーディオインターフェース用にASIOのドライバーをインストールしていますので、SYNCROOMの設定画面で、オーディオデバイスにASIOを選択。

SYNCROOMの設定画面

オーディオデバイスは、他にWASAPI共有モード、WASAPI排他モード、DirectSound、VSTモードなどが選択できるようになっています(Windowsの場合)。

MacではCoreAudioかVSTモードが選択できます。

WindowsでASIOを使用しない場合、お互いWASAPI排他モードにすると遅延が少なくなるケースが多かったです。

また、バッファサイズを小さくすると、遅延が少なくなるようです。

それから、音声の接続がうまくいかないときは、SYNCROOMの公式プレイヤーズサイトの中の、ルーム一覧の一番下にある「接続テストルーム」に入ってテストすると、音声が繋がるようになったことが何度かありました。

それから、イヤホンやヘッドホンをお互いに使用するのがお勧めです。
イヤホンなしだと、自分の音が相手のマイクを通して少し遅れて返ってきたり、ハウリングを起こしたりすることがあります。

遠隔地との繋がり

オンラインのおかげで、遠隔地在住の方々と繋がることができ、とても嬉しく思っています。

地方には劇場やオペラ団体が少ないため、コレペティトールの人数も少なく、例えばオペラ全曲を勉強したい場合などに、助けを必要としている歌い手さんが多いようです。

以前から名古屋などに出張コレペティレッスンに行っていたこともあり、地方には沢山の熱心で優秀な歌手、音大生がいらして、多くの可能性、発展性があると思っていました。

今後はオンラインも通じて、全国の声楽に関わる方々のお手伝いができれば幸いです。

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